JJ・レディックがNBAヘッドコーチとして直面するもの

2024-2025

レイカーズの新人ヘッドコーチは、リーグの主要フランチャイズの一つを率いながら、そして多くの困難を経験しながら学んでいくことになるだろう。

6月、ロサンゼルス・レイカーズのヘッドコーチとして初めて記者会見に臨んだJJ・レディックは、その洗練された姿を披露した。ダークスーツに、整えた髪、そして何よりも、臆面もない自信。「まったく気にしないよ」とレディックは、放送ブースからベンチにこれから移行する環境について答えると共に懐疑的なコメントの質問に冷静に応じていた。実際、レディックはパット・ライリー風の雰囲気を漂わせており、レイカーズの幹部は内部でそれを比較していたらしい。ライリーはロサンゼルスを4度の優勝に導いたレジェンドで、新人HCとしてはとてつもなく高い基準だろう。

これまでにもコーチ経験のない元選手を雇ったチームはあるが、結果はまちまちだ。最も成功した例はスティーブ・カーで、ゴールデンステート・ウォリアーズを4度の優勝に導いた。その中には、前任者のマーク・ジャクソン(自身もコーチ経験は新人)の下で3年間でプレーオフシリーズに1勝しかできなかったチームを引き継いだ2014-15年のルーキーシーズンも含まれる。その一方で、スティーブ・ナッシュは、ブルックリンでケビン・デュラント、ジェームズ・ハーデン、カイリー・アービングといった才能あふれる選手たちを引き継いだにもかかわらず、2022-23シーズンに2勝5敗という絶望的なスタートを切った後、解任された。

「これは全く別の挑戦なんだよ」と、2008年に42歳でシカゴの監督に就任するまで、選手、解説者、ゼネラルマネージャー補佐を務めた元ブルズのコーチ、ヴィニー・デルネグロは言う。「好きなだけ映像を見て、テレビの中で最高のプレーや選手たちについて好き勝手に言うことはできるよ。自分がどれだけ賢いと思っていても、どれだけ他の経験があっても、ヘッドコーチというのは全く別物なんだ。」

デルネグロはシカゴでは、元ヘッドコーチのデル・ハリスとバーニー・ビッカースタッフに率いられたベテランアシスタントのスタッフに頼っていたと語る。デルネグロは毎朝ハリスと会って攻撃のゲームプランを練り、それからディフェンスを担当する別のアシスタントのボブ・オチェプカと相談した。ビッカースタッフは練習やデルネグロが試合中にどのようにハドルを回すかを手助けしていた。

「すぐに分かったのは、時間が足りないということだ」と、シカゴでの2シーズンでそれぞれ41勝41敗を記録し、現在はNBA TVの解説者であるデルネグロは言う。「若いコーチは、今日は3つか4つのことをやろうと思う。そして、観衆がどんな人かにもよるが、3つと4つで凡庸なままでいるよりも、1つ、あるいは2つを完璧にこなす方が得策だと気づく。見ている人たちにも伝わるんだ」

デルネグロ同様、レディックもネイト・マクミランとスコット・ブルックスという2人の元ヘッドコーチを筆頭に、経験豊富なスタッフを編成した。レディックの選手に対する最初のメッセージはシンプルだった。「組織化する」。選手たちは内心、ダービン・ハム監督の下での昨シーズンのゲームプランの不確実性や、役割が頻繁に変わることについて不満を漏らしていたからである。  

シュート選択の改善も、重点項目の 1 つだ。昨シーズン、LA は 1 試合あたり 10.4 本のミドルレンジ ジャンプシュートを放った (NBA で 12 位) が、成功率は 23 位 (38.6%) だった。リーグで 3 番目に少ない 3 ポイントシュート (1 試合あたり 31.4 本) を試みたチームに、レディックは 3 ポイントシュートをもっと打たせたいと考えている。NBAが守備の多才さと 3 ポイント中心の攻撃に重点を置く方向に舵を切ったのに対し、レイカーズはサイズとペイント重視の攻撃に舵を切った。レディックはそれを変えようとしている。

しかし、たとえ彼がそうするとしても、昨年レブロン・ジェームズと健康なアンソニー・デイビスを擁しながらもプレーオフに進めなかったチームにとって、それが意味を持つだろうか?レディックがコーチの天才だったとしても、2人のスター選手以外のロースターの才能を考えると、競争の激しいウェスタン・カンファレンスで順位を上げるのは困難だろう。 

デルネグロによると、レディックにできるのは、基準を作り、それに従うことだけだという。 

「コーチングは本当にストレスフルで大変な仕事なんだ」とデルネグロは言う。「24時間365日さ。選手たちに期待するパフォーマンスを伝え、成功するまで毎日その目標に向かって努力することが求められる」。

開幕戦をものにしたとはいえ、シーズンの今後が順風満帆な保証はどこにもない。苦難に直面した時にレディックのヘッドコーチとしての資質と人間力が試されるだろう。ポッドキャストという外野の声が一切届かない世界からコートサイドという周りの批判に囲まれた重圧にどう対処していくかも今後の最所と言えそうだ。

引用元:Sports Illustrated

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