JJ・レディックは、アンソニー・デイビスがレイカーズの攻撃陣でより大きな役割を果たせると、コーチ就任の瞬間から信じていた。レディックはプレシーズン中に記者団に対し、選手とコーチ陣はデイビスにできるだけボールを触らせたいと考えており、それが39歳のレブロン・ジェームズの負担軽減にもなると語った。
その計画は、攻撃の観点から見ると、これまでのところ驚くほどうまく機能している。
今季デイビスはキャリア最高の平均得点を記録し、MVP候補の様なプレーを見せている。チームもオフェンシブレーティングでリーグ4位にまで上り詰めたが、 これは主にレディックがスターセンターに完璧な役割を与えたおかげと言えるだろう。
レディックがデイビスとレイカーズの攻撃陣の力を最大限に発揮させるために行った変更は以下の通り。
アンソニー・デイビスはMVPシャックよりも高い得点を挙げている
デイビスの純粋な数字は、レイカーズがこれまでビッグマンから得たものとはまったく異なる。
ロサンゼルスは、カリーム・アブドゥル・ジャバー、ウィルト・チェンバレン、ジョージ・マイカン、シャックといった伝説のセンターを輩出してきた。デイビスの1試合平均30.1得点を超える選手はいない。この数字には、2000年のMVPシーズンのシャックも含まれる。
シャキール・オニール (’99-’00) | 統計(ゲームあたり) | アンソニー・デイビス (’24-’25) |
29.7 | ポイント | 30.1 |
13.6 | リバウンド | 11.1 |
3.8 | アシスト | 2.8 |
57.4% | フィールドゴール率 | 55.6% |
0% | 3ポイント% | 40.6% |
52.4% | フリースロー % | 78.1% |
57.4% | 有効FG% | 57.9% |
勿論、現代のハイペースは大きな要因ではあるが、それ以外にもデイビスはシャックよりも効率的に、そしてより頻繁に得点している。それにはいくつかの理由がある。
JJレディックはいかにしてアンソニー・デイビスをエースに変えたのか
デイビスは3ポイントシュートの才能を取り戻した
ADが3ポイントシュートを決めると、レイカーズは別チームになる。
デイビスは2020年のバブルで38.3%の3ポイントシュート率を記録し、ロサンゼルスを優勝に導いた。その好調な時期以来、彼はジャンパーを嫌がり、成功率の悪いシュートを打っている。元ヘッドコーチのフランク・ボーゲルとダービン・ハムは彼にもっとシュートを打たせようとしたが、ほとんど効果がなかった。
レディックは、前任者たちが失敗したところで成功を収めた。デイビスは3ポイントシュート成功率40.6%を記録しており、過去4年間で最も高い成功率を記録している(1試合あたり2.1回)。3ポイントシュートへのこだわりはプレシーズンに始まり、レディックはADに3ポイントシュートを打たせるためのオープニングプレーを描いた。
「彼はシュートを決めてくれてるよ」とレディックはとある試合後に語った。「それが自信からなのか、安堵からなのかは分からないが、彼は今夜シュートする気満々だったね。我々は彼に毎晩こうなってほしいと思っているんだ。」
レディックはオリンピック、プレシーズン、レギュラーシーズンを通じてデイビスを厳しく指導し、シュート力の脅威となるよう指導してきた。そのスター選手に対する信頼がすぐに結果につながった。
デイビスを攻撃の中心地にする計画はうまくいっている
デイビスはボールに触れる機会が増え、毎晩彼の決断力が試されている。彼は今年初めにスポーツセンター(米国の有名なスポーツ番組)に出演し、自身の新しい役割について話した。
「JJが仕掛けた戦略のおかげで、僕は攻撃の中心となり、僕を通してプレーするようになった。僕はそれを読み取らなければならないが、今はとても自信があるよ。」
デイビスはエルボーでのパスが得意だ。レディックはウォリアーズ流のスプリットアクションで彼を起用し、カッターを使ってレイアップを狙う。ディフェンダーがジェームズにボールを渡さないように阻止しようとすると、彼はジェームズを囮にフィニッシャーとして機能した。
デイビスはレイカーズのディレイセットでも巧みなパスを披露し、3ポイントラインの一番上、トップ付近でボールを貰うこともある。これにより相手チームのセンター陣はコート上のより高い位置に引き上げられ、ペイントエリアが開いてレイアップがしやすくなった。
デイビスのパスチャンスは、チームの攻撃に動きが加わったことで生まれた。
「誰かがボールを持っているときは、常に動き回っている。立ち止まっている時間があまりなく、守備陣にチャンスを与えない」とデイビスはスポーツセンターで語っている。
デイビスはレイカーズのエースである
ジェームズがレイカーズに加入して以来、彼がチームの得点でトップに立たなかったのは今回が初めてだ。その栄誉は今季デイビスのものだ。彼はチームのポゼッションの31.8%を担っているが、これは 25 年前に MVPのシャックが担った31.2%をわずかに上回っている。
シャックがローポストの選手だったのに対し、デイビスはより多才なオフェンス選手だ。彼はアイソレーションが得意で、リム付近での素晴らしいフィニッシャーであり、素晴らしいフローターを持ち、ディフェンスを警戒させるジャンプショットをも今季は取り戻した。今は彼を止める事は容易ではない。
デイビスは明らかにこのチームでエースの地位を獲得したが、それはレディックの計画によるものだ。それは、今でもオールNBA選手のようなプレイをしているジェームズの負担を軽減するものだ。
デイビスには昔からこうしたスキルがあったが、レディックは彼のパス、シュート、得点をどう生かすかを知っていた。それがデイビスにとってキャリア最高のシーズンとなり、レイカーズの攻撃陣はリーグでも屈指の攻撃力を誇ることになった。 対策が講じられるであろう今季終盤まで彼がこのペースを維持できるか、彼は本物のエースなのか今後の活躍にも注目だ。
引用元:The Sporting News